
大きな瞳の、どこか小動物を連想させる顔立ちと、グラマラスな肢体。現代のスターに例えるなら、倖田來未といったところか。まさに“エロかわいい”魅力で、1960年代末から70年代頭にかけて一世を風靡した女優が、渥美マリだ。
若い肉体を武器に男たちを惑わし、したたかにのし上がっていくヒロイン像を、むしろ清潔感を損なわない可憐な魅力で演じた“軟体動物シリーズ”は、2年間で6作を数えた。
そこで、当時は“和製ブリジット・バルドー”と称えられた、伝説の元祖セクシー女優にスポットを当ててみたい。
1950年11月20日生まれの渥美マリは、両親ともに大映の俳優だったことから、大映東京撮影所の演技研究所19期生に合格し、68年から大映の専属女優となる。そして、翌69年には早々に頭角を現して、初主演映画「いそぎんちゃく」を大ヒットさせる。
立て続けに続編も作られて、のちに“軟体動物シリーズ”と呼ばれるが、くらげやいそぎんちゃくが物語上の重要な役割を担うわけではもちろんなく、軟体動物のように柔軟なヒロインの生き方をシンボライズさせたタイトルであり、渥美の柔らかく丸みを帯びた肉感的なボディの比喩にもなっている。また、歌手としても「可愛い悪魔/真夜中のテラス」が、日本初のヌードジャケットレコードとして話題になった。
だが、71年の旧大映の倒産により、残念ながらシリーズは6作で終わってしまい、彼女は「津々見マリ」「渥美まり恵」と名を変えて、東映や東宝、あるいはテレビへと活動の場を移すものの、70年代半ばには表舞台から姿を消してしまうのである。 今回は、シリーズの中でも代表作とされる第3作「でんきくらげ」と、「でんきくらげ」の大ヒットを受け、再びエロスの巨匠・増村保造と組んだ第6作「しびれくらげ」の2作品をお届けしよう。
「でんきくらげ」(70年)は、シリーズ屈指の傑作であり、渥美自身にとっても代表作。男にだらしない母親を反面教師に、若い肉体と美貌を使ってホステス業界で成り上がり、ついには数億円もの遺産を手にする物語だ。川津祐介を相手に、モーテルの豪華な回転ベッドで繰り広げるSEXシーンは、増村のスタイリッシュな演出も手伝って圧巻の見せ場となっている。
「しびれくらげ」(70年)は、ファッション・モデルとして働く話だが、こちらはサクセスものではなく、ダメ親父に足を引っ張られながらも、したたかな強さを貫くヒロイン像に、渥美らしい清潔なエロスが炸裂する。それにしても増村の、女が無理やり衣服を剥ぎとられ、またたく間に裸身をさらす場面は、どの作品を見ても絶妙で、あっけにとられるほどエロチックだ。
ヌードも辞さず、男たちを虜にしてゆくヒロインを演じても、決して下品に陥ることのなかった渥美マリ。そんな彼女のキュートな魅力は、当時よりもむしろ21世紀の今こそ輝くはずだ。元祖“エロかわいい”が再発見される、機は熟した。
文・外山真也
2009.8.7更新
(C)1970角川映画







