
1970年、経営難にあえいでいた旧大映は、日活と配給網を統合するため「ダイニチ映配」を設立。エロスや暴力を前面に押し出す作品を量産して巻き返しを図った。関根恵子主演の“レモンセックス”路線と並んで、この時期を支えた青春ものに、「高校生番長」シリーズがある。まさにエロスと暴力が売りの学園もので、思春期のセックス・ネタとジェームス・ディーン主演の「理由なき反抗」を組み合わせたような青春群像劇だ。
このシリーズの特徴は、まず男女ともに優等生と不良という二項対立の図式で始まり、ケンカや誘惑、レイプなどによって深まってゆく両者の確執が、最後に命懸けの度胸比べ対決を経て友情へと変わり、ハッピーエンドを迎えるパターンが、シリーズを通じて踏襲される点にある。キャストも、優等生側を担う俳優に篠田三郎、不良側が小野川公三郎と固定されている。女優では、優等生は南美川洋子から松坂慶子へと引き継がれ、不良は主に八並映子が務めている。
今週は、DVDで観るチャンスのない、このシリーズ全4作品をお届けしてみたい。3人の女優、とりわけ八並映子の脱ぎっぷりは要チェックだ。
第1作「高校生番長」(70年)は、同じ教室を使う全日制と定時制クラスの対立を軸に、若者たちの恋と性と暴力がショッキングに描かれる。マザコンならぬ姉コンだった優等生の小倉一郎が、定時制の不良娘に童貞を奪われるや否や、セックス・ノイローゼの変質者に豹変したり、弟の奇行を治療しようと、女教師の姉が近親相姦を迫ったり、さらにはレイプ合戦(しかも学校にバレてもおとがめなし!)が繰り広げられたりと、ツッコミどころ満載の展開が逆に飽きさせない。危うく強姦されかかる清純派・南美川洋子の美貌にも注目してほしい。
続く「高校生番長 棒立てあそび」(70年)は、篠田三郎演じる大学への推薦入学が決まった文武両道の優等生が、不良たちの誘惑や嫌がらせに抗して問題を起こさずに卒業できるか?を焦点に、2組のカップルの恋の行方が描かれる。キャスト陣も、レイプ合戦などのツッコミどころも、前作をしっかり踏襲している。ちなみにタイトルの「棒立て」とは、もちろん男性器のことだ。
第3作「高校生番長 深夜放送」(70年)からは、南美川が抜け、脱ぎっぷりのいい八並映子が女優の一番手に昇格。深夜ラジオのリクエストはがきで売春を告白した女子高生が誰なのか?というサスペンスで引っ張りながら、八並、篠田、小野川の三角関係が描かれる。
そして、シリーズの最後を飾る「高校生番長 ズベ公正統派」(70年)では、前作で脇役だった松坂慶子が優等生側のヒロインに抜擢されて登場。優等生側の成績トップ争いと不良たちの番長争い。さらに優等生ヒロイン(松坂)と不良ヒロイン(八並)のロストバージン。二項対立の二重構造が、クライマックスの殴り合いで友情へと昇華する物語は、まさに“正統派”の青春映画。ラストを飾るに相応しいシリーズの“完成形”と言えるだろう。
ここで描かれる“性”と“暴力”は、決して客寄せのキワモノではなく、若さゆえの痛みと純粋さを表現した“青春のシンボル”なのだ。
文・外山真也
2009.7.10更新
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