
「三国志演義」の中でも特に名高い“赤壁の戦い”を描いて、2部作合計で興行収入が100億円を超えた大ヒット映画「レッドクリフ」。完結編であるPart2も、いよいよ8月5日からDVD発売される。
主人公で孫権軍の知将・周瑜を演じたトニー・レオンと天才軍師・諸葛孔明役の金城武。今ではアジアを代表するトップスターとして、日本でも絶大な人気を誇る2人にスポットを当ててみたい。
今回紹介する7本は、2人が次第に国際的な名声を獲得してゆく90年代の作品群。「レッドクリフ」で注目したファンも、それ以前からの支持者も、2人の成長の足跡をたどるのにうってつけの機会となるはず。
では、まず金城武から。彼が日本で初めて注目された作品は、ウォン・カーウァイ監督の「恋する惑星」(94年)と「天使の涙」(95年)だろう。その後、「不夜城 SLEEPLESS TOWN」(98年)やTV「神様、もう少しだけ」(98年)といった日本の作品にも出演し、日本での知名度もグッと上がってゆく。ここでは、ちょうどその間の時期に当たる、94~96年に母国台湾で出演した4作品を取り上げたい。
「報告班長3(邦題「ソルジャー・ボーイズ」)」(94年)は、兵役を通して成長してゆく若者群像を描いた青春ドラマで、金城は“鉄頭”というあだ名の協調性のない隊員を演じて際立った存在感を発揮している。バスケのダンクシュート場面はファン必見だ。「チャイナ・ドラゴン」(95年)は、中国代表として武術大会に出場することになった姉妹をめぐるカンフー・コメディ。その姉に一目ぼれする、物語の語り部的な青年役をコミカルに演じる姿は今では貴重だ。一転、爽やかな学園コメディ「スクールデイズ」(95年)では、問題児の転校生役を制服姿でクールに演じているほか、歌手として主題歌も担った。そして「フォーエバー・フレンズ/戦場への挑戦」(96年)は、士官学校生たちの成長を描く戦争アクション大作。落ちこぼれ部隊の友情や鬼教官との絆を通して、青春の熱気がほとばしる好編だ。
一方、トニー・レオンも90年代の3作品を紹介したい。ホウ・シャオシェン監督のベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作「悲情城市」(89年)や、ウォン・カーウァイ監督作「欲望の翼」(90年)などで注目された彼は、90年代には既に日本でもかなりの人気だった。いずれ劣らぬ高いクオリティを誇る今回の3作品からは、演技の幅や脚本選択眼など俳優としての彼の類まれな資質を感じずにはいられない。
まずは93年の「エンド・オブ・ザ・ロード」から。第2次大戦後の混乱期を舞台に、アヘン密造で有名な“黄金の三角地帯”で各軍入り乱れての戦闘が繰り広げられる。レオンがタイのアヘン密売団に寝返る中国国民党軍の将校を好演する反戦映画の秀作だ。「ミッドナイト・エクスプレス」(97年)では、警察の汚職を暴く記事を書いたがために罠にかかって投獄された熱血漢の新聞記者を演じる。目を覆いたくなるような拷問シーンもあるが、それがかえってファンにはたまらないかも? 最後は「君を見つけた25時」(98年)。CM業界が舞台の都会的なロマンティック・コメディだ。キャリアウーマンの上司と美少女モデルとの狭間で揺れる優柔不断男を演じても清潔感が損なわれないのがレオンらしい。
CGを駆使した超大作「レッドクリフ」の中でも埋没せずに際立っていたトニー・レオンの演技力と金城武のカッコ良さは、90年代から彼らの武器だったことがよく分かるラインナップだ。観比べてみることで、2人の成長の軌跡を確認してほしい。
文・外山真也
2009.6.12更新
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