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メディアミックスはこうして生まれた 読んでから見るか、見てから読むか

出版物やテレビと連動した“メディアミックス”による映画のプロモーションは、今では当たり前。だが、そもそもは角川書店が自社の小説を売るために打ち出した戦略だった。その記念すべき第1作が「犬神家の一族」(76年)。これが見事に奏功して、空前の横溝正史ブームが起きた。次いで角川は森村誠一を売り出すべく、「人間の証明」「野性の証明」を立て続けに映画化。この時、名高い2つのキャッチコピーが生まれる。「母さん、ぼくのあの帽子、どこへ行ったんでしょうね」と「読んでから見るか、見てから読むか」である。後者はあまりにもポピュラーになり過ぎたため、出自が忘れられがちだが、実は角川書店=メディアミックスの落とし子なのだ。

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(C)角川映画

そこで今回は、誕生から社長が交代して一時代が終わるまでの第一期角川映画時代にスポットを当て、5作品を選んでみた。横溝、森村に加え山田風太郎、阿佐田哲也、つかこうへいの5人の原作者は、いずれもこの時期の角川映画を担った人気作家たちである。
「犬神家の一族」は、2006年に巨匠・市川崑が自らリメイクして遺作となった探偵映画のオリジナル版。以後、同様に石坂浩二が金田一耕助を演じて4年間にシリーズ5作が作られるが、数多ある横溝作品の映画化の中でも、この第1作は出色の出来栄えと言える。森村が映画化を前提に執筆し、高倉健の主演で大ヒットした「野性の証明」(78年)は、むしろ薬師丸ひろ子の強烈なまなざしと、「お父さん、怖いよ。誰かがお父さんを殺しにくるよ」のフレーズで記憶に留めている人が多いのでは? 山田風太郎の忍法貼シリーズを映画化した「伊賀忍法貼」(82年)は、真田広之の相手役として起用され、薬師丸、原田知世と共に“角川3人娘”と呼ばれた渡辺典子のデビュー作である。

 
(C)角川映画

80年代に入ると、話題性が先行していた角川映画は、質の面でも評価の高い作品を連発する。映画通として知られるイラストレーター・和田誠の初監督作で、阿佐田哲也(色川武大の別名)が原作の「麻雀放浪記」(84年)は、実力派俳優陣の競演や流麗なカメラワークを駆使した美しいモノクロ映像が相まって、多くの映画賞に輝いた。最後は「麻雀~」と並び角川映画の質を代表する「蒲田行進曲」のつかこうへいが原作の「幕末純情伝」(91年)。新撰組の沖田総司は女だったという斬新な発想が随所で効果を発揮する痛快な時代劇コメディだ。
現在の日本映画の隆盛にも引けを取らない、1970年代半ばから80年代の角川映画ブーム。あの時代の息吹を追体験するには、かっこうの5作品と言えよう。

文・外山真也

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2009.1.23更新

 
 

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