
1950〜60年代の日本の特撮技術は、ハリウッドもうらやむ世界屈指の水準を誇った。その神髄は、着ぐるみとミニチュアを駆使した手作り感だ。CGの発達に支えられた現在のハリウッドの特撮は確かに凄いが、リアリティばかりを追求していて、どこか味気ない。その点、日本古来の伝説や信仰に題材をとった大魔神や妖怪たちは独創的。その上、怖い反面、愛嬌もあって親近感を覚える。
まず、時代劇と特撮ヒーローを融合させた「大魔神」の醍醐味は、鎧をまとった大魔神の造形だ。担当したのは「ウルトラマン」の怪獣造形で知られる高山良策で、柔和な埴輪顔の石像が鬼の形相に一変する瞬間は、単純なアニメ合成にもかかわらず心躍る痛快さ。大映京都撮影所がこの映画のために購入したブルーバック合成用の巨大ライトスクリーンが効果を発揮している。
「妖怪百物語」「妖怪大戦争」「東海道お化け道中」の妖怪3部作は、大挙登場するお化けたちが見どころ。日本独自の着ぐるみの魅力を存分に活かした擬人化により、CGやアニマトロニクスには真似できないユニークでキャラの立ったお化けたちを楽しめる。ちなみに「妖怪百物語」は「大魔神」と同じ安田公義が監督し、因習やしきたりを軽んじた人間に災いが降りかかるというテーマも共通する。
さらに、"化け猫女優"として一時代を築いた入江たか子の化け猫変化に目を見張る「怪猫有馬御殿」、世紀の二枚目スター・長谷川一夫が善人の伊右衛門を演じる三隅研次版「四谷怪談」、その長谷川、市川雷蔵、勝新太郎、山本富士子ら当時の大映が誇った超豪華キャスト以上に、火を吹く鬼の首や魑魅魍魎たちの不気味さに圧倒される「大江山酒天童子」の3本を加えた、計7作品をお届けする珠玉のラインナップ。懐かしさに溢れた、昭和の特撮ロマンをとくとご覧あれ!
文・外山真也
2009.1.23更新
(C)1966角川映画,(C)1968角川映画,(C)1968角川映画,(C)1969角川映画,(C)1953角川映画, (C)1959角川映画







